この度、新しいハードディスクを新調しましたので、僭越ながらレビューを書かせていただきます。
買ったのは、ウェスタン・デジタルの WD80EFAX というモデルです。このモデルは前から出ていた 8TB Red(WD80EFZX)を置き換える新しいモデルで、いくつかの変更が行われています。特に、気になるのは、ヘリウム・プラットフォームから従来の空気・プラットフォームへと変更になっているところで、ここらへんも含めて評価できればと思います。
因みに、私が入手したのは、「WD80EFAX-68KNBN0」というモデルですが、WD の外部付ストレージ製品の中には、「WD80EFAX-68LHPN0」というモデルが入っていることが確認されていて、こちらは HGST Ultrastar He10 ベースでヘリウム充填らしいです。
今回の「WD80EFAX-68KNBN0」は部品番号が「R/N US7SAN8T0」となっていて、HGST Ultrastar 7K8/HC HC320 と一致している模様。
スペックの比較
まずは以前のモデルとスペックの変更点を比較してみましょう:
WD80EFAX | WD80EFZX | |
---|---|---|
プラッタ容量 | 1.6 TB | 1.2 TB |
プラッタ枚数 | 5 枚 | 7 枚 |
転送速度 | 210 MB/s | 178MB/s |
バッファ | 256 MB | 128 MB |
アイドル時ノイズ | 27 dB | 20 dB |
シーク時ノイズ | 29 dB | 29 dB |
アイドル時消費電力 | 5.3 W | 5.2 W |
動作時消費電力 | 8.8 W | 6.4 W |
重さ | 715 g | 650 g |
WD は HDD のプラッタの情報をスペックに乗せていないのですが、新しいモデルの WD80EFAX は HGST Ultrastar 7K8 / DC HC320、以前のモデルの WD80EFZX は HGST Ultrasar He8 がベースになっていると言われていて、プラッタ容量と枚数はそのスペックから拝借しました。
転送速度が 178 MB/s から 210 MB/s へと高速化されています。回転速度は 5400 RPM なので、これはプラッタの高密度化によるものだと思われます。この高密度化により、プラッタ枚数が 7 枚から 5 枚へと減少し、ヘリウムを使わずとも 8 TBの容量を実現できるようになったのでしょう。部品数の削減は一般に信頼性の向上に繋がるので、これは良いことです。
プラッタ枚数が減っているのに、重さが 650 g から 715 g に増大しているのは、ヘリウム充填から空気充填に変わったからでしょうか、それとも筐体の違いなのでしょうか。
ヘリウム・プラットフォームのメリットとして、振動の軽減、消費電力の軽減、発熱の軽減などが謳われていますが、 新しいモデルでは、ヘリウムを使わなくなった為、アイドル時のノイズ、全体的な消費電力が悪くなっているようです。それでも尚、新しいモデルのプラッタ枚数の減少、転送速度の向上は、素晴らしいメリットに思います。値段も以前のモデルと比べて安く(3/4くらい?)なっていて、これもヘリウムを採用しなかった故のメリットでしょう。
パフォーマンスの検証
次は実際のパフォーマンスを見てみます:

シーケンシャルリードとライトが、210 MB/s 台でスペック通りの速度が出ています。もはや 5400 RPM のドライブで、これだけの速度が出るのは素晴らしいです。プラッタ密度で転送速度は決まるので、現行の 5400 RPM ドライブでは最速ではないでしょうか。
次に温度について見ていきます:

温度は私が持っている他のドライブと比べると比較的高い部類にあるようです。大容量ドライブは、どのモデルも温度が高い傾向にあるようなので、仕方ないのかなという印象。アイドル時は40度前後、アクティブ時は40度後半くらいで、温度は安定しているようでした。スペック上の動作温度は 0 ℃ ~ 65 ℃ なので、私のデスクトップ環境では、特別問題にはならないのですが、ファンレスの密閉されたケース等に入れるのは厳しそうな印象です。

最後に動作ノイズについても言及しておきます:
動作音に関しては、従来の 6 TB 以下の WD の静音な HDD と比較すると、やっぱり、音が大きいかなという印象です。しかし、大容量ドライブの殆どが 7200 RPM を採用していることを考えると、なかなか静かな部類ではないでしょうか。
因みに全セクタチェックは14時間かかりました:

総括
26000円台で今回の HDD を購入しましたが、8 TB という大容量、1.6 TB のプラッタ密度には、非常に満足しています。
現状 8 TB の HDD は色々な選択肢があり、なかなか、どれを買うか非常に悩ましいのですが、低速回転の大容量ドライブが欲しい場合、唯一の選択肢なのではないでしょうか。
WD は静音性で定評があるブランドなので、静音性と温度に関しては、もう少し改善して欲しい感じはありますが、現状の選択肢の中では、容量的にもパフォーマンス的にも十分にオススメできるドライブだと思います。
以上